
アメリカの大学は卒業が難しいって本当なのかな? 日本の大学と比較して、なんでアメリカの大学は卒業が難しいのか教えて欲しい。
こういった疑問に答えます。
本記事の内容
- 『アメリカの大学は卒業が難しい』って本当か?
- なんでアメリカの大学は卒業が難しいのか?
『アメリカの大学は卒業率が低い』=『アメリカの大学は卒業が難しい』という考え

『アメリカの大学は卒業率が低い』という事実はあります。
大学の卒業率は、日本:91% vs アメリカ:57%
日本の大学の卒業率と比べ、アメリカの大学の卒業率は低いです。
この『卒業率の低さ=卒業の難しさ』と日本では思われています。が、この数字から分かる事は、ほとんどの入学者が卒業できる日本に比べ、アメリカの大学では、入学はしたが卒業せずにドロップアウトしていく人が多いということです。
日本の大学へ入学する場合、入学者は一発勝負の難しい入試をクリアしなければいけません。
一方、アメリカの大学へ入学する場合、入学者に求められる入学基準は、大学が求める高校時代の成績(GPA)、失敗しても受け直しができる共通学力試験(SAT)、推薦状になります。
つまり、自分が希望する大学が、超有名校(ハーバードやスタンフォード)の様に厳しいGPA/SAT基準を設けていない場合、『大学入学のハードルは高くない=入学しやすい』ということになります。
この入学の容易さから、アメリカの大学入学者の中には、『とりあえず大学には行ってみるが、自分がやりたかった事ではない、勉強を続けていきたくない』等様々な理由でドロップアウトしていく人達がいます。
入学の容易さが低い卒業率の原因になってしまうのです。
アメリカの名門校の卒業率は高い

ハーバードやスタンフォードのようなアメリカ名門校の卒業率は日本並みです。
名門校(ハーバードやスタンフォード)は入学者に厳しいGPA/SAT基準を設けているため、入学者は大学進学への目的意識と目標達成意欲を持っています。それが、高い卒業率につながっています。
以下はハーバード大学、スタンフォード大学(アメリカの名門校)と僕が行っていた州立モンタナ大学(地方国立大学)の卒業率になります。
卒業率(%) | |
---|---|
ハーバード大学 | 97 |
スタンフォード大学 | 95 |
州立モンタナ大学 | 47 |
この表からも、大学のレベルが高くなる程、卒業率が高くなる傾向がお分かりいただけると思います。
アメリカの大学では、『自己都合でやめていく学生が卒業率を低くしている』から、『卒業が難しく見える』だけなのか? 『アメリカの大学は卒業が難しい』という噂は本当か?
次はそういった疑問に答えたいと思います。
『アメリカの大学は卒業が難しい』という噂は本当です。

『アメリカの大学は卒業率が低い』=『アメリカの大学は卒業が難しく見える』という事実はあります。
が、留学生にとっては『アメリカの大学を卒業すること自体が難しい』のは本当です。
語学力の壁

留学生は語学力の壁を克服するための勉強量が必要です。
アメリカの大学の授業に慣れるまでは、授業の理解プラス英語の壁をクリアしなければいけません。
当然ながら、すべてのレクチャーは英語で行われます。たとえTOEFLレベルの英語が理解できたとしても、初めのうちは、レクチャーについていくだけでも至難の業。アメリカのレクチャーは口頭説明が多く、教科書は参考程度にしか使いません。だから、レクチャーが分からない場合、教科書を読んでカバーすることができないのです。
したがって、教授の口頭説明をノートに取りながら理解していくためには、授業の予習・復習は欠かせません。それを考えれば、いやでも勉強時間は増えていきます。
僕が留学していた時も、毎日の勉強量は膨大でした。ぶっちゃけ、図書館とユニバーシティーセンターと呼ばれるラウンジで勉強していたため、授業以外はそこで過ごしたと言っても過言ではないですね。
【単位取得の難しさ】成績次第で退学の可能性も
アメリカの大学では最低限の成績を維持するための勉強量が必要になります。
アメリカの大学では成績次第で退学処分があるからです。
入学試験さえ乗り切れば楽園生活の日本の大学では、よっぽどのことがない限り退学処分はありません。しかし、アメリカの大学では成績次第で退学処分になってしまいます。
アメリカの大学では、各クラスの評価が以下の様に出ます。
アメリカの大学におけるクラス評価
- 90%(点)以上でA評価 → GP=4ポイント
- 80%(点)以上でB評価 → GP=3ポイント
- 70%(点)以上でC評価 → GP=2ポイント
- 70%(点)以下でD評価 → GP=1ポイント
各クラスで得たGPの平均がGPAと呼ばれ、僕が通っていた州立モンタナ大学ではGPAが2以下になると学期終了後に大学から警告が来ます。そして、次の学期終了までにGPAが2以上に回復しない場合は退学処分となっていました。したがって、退学処分にならないように、ある程度の成績はキープしなければいけません。
大学生の学習時間に関する統計では、日本の大学生の70%が1週間で5時間以内しか勉強しないのに対し、アメリカの大学生の60%以上が1週間に10時間以上を勉強の時間に割いているとの結果が出ています。留学生なら、この勉強時間の2-3倍です。
この結果からも、アメリカの大学を卒業する事の難しさがお分かりただけると思います。
海外で学習することの難しさ

留学には精神的な強さが求められます。
留学生が海外で生活すること自体、カルチャーショックや人間関係など様々なストレスにさらされています。そのストレスの中で学習し続けるためには精神的に強くなければいけないのです。
カルチャーショックや人間関係など様々なストレスのなかでハードな学習スケジュールがこなせなければ、留学生がアメリカの大学で成績を維持していくことは不可能です。
つまり、精神的に弱くなってしまい、ストレスでノイローゼやうつになってしまった状態では留学生活を維持していくこと自体が不可能なのです。
それが『海外で学習することの最も難しい点』なのです。
僕が留学していた時も、ノイローゼになってしまった理由は様々でしたが、留学生活に復帰することができずに帰国してしまった人達が2-3年間に8人いました。海外で孤独感にさらされ、もろくなってしまった人間は立ち直れなくなってしまうのです。
というわけで今回は以上です。
留学生にとって、『アメリカの大学を卒業するのは難しい』は真実でした。留学は物理的にも精神的にも大きな負担が掛かりますが、その分、留学を終えた時の『達成感』は何物にも代えがたい財産になりますので、留学を志している方は頑張ってほしいと思います。