
アメリカ留学前に予防接種は必要なのかな? 自分が受けている予防接種の確認方法って? 予防接種が間に合わない時はどうするの? あと、その他、留学前の予防接種について知っておくべきことがあったら教えて欲しい。
こういった疑問に答えます。
本記事の内容
- アメリカ留学前に予防接種記録は絶対必要です
- あなたが受けた予防接種の確認方法
- 予防接種が留学までに間に合わない場合の対処法
- その他、留学前に予防接種について知っておくべきこと
この記事を書いている僕は24歳でアメリカの大学に編入した際、予防接種記録を提出し、加えてアメリカで追加の予防接種も行いました。
アメリカ留学前に予防接種記録の提出は必須

アメリカ留学前に、『あなたの予防接種記録』を大学に提出する事は必須です。
提出しないと大学の授業を受けることはできません。
アメリカにおける予防接種の重要性
アメリカCDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、様々な国からやってくる留学生に予防接種記録の提出を要求します。
なぜなら、それがアメリカの大学を伝染病のアウトブレイクから守るための水際作戦だからです。加えて、予防接種はあなたを守る防御シールドです。様々な人達によって、アメリカへ持ち込まれるかもしれない伝染病から、あなたを守ってくれる防御シールドが予防接種なのです。
世界では考えられないような病気が流行っています。僕が留学していた時のルームメートの1人はイエメンからでしたが、彼の国で最も致死率の高い病気はマラリア(蚊を媒体とした伝染病)だそうです。日本ではあり得ない病気。日本にとっての当り前が、海外では当たり前ではないのです。
どんな予防接種が必要なの?
どんな種類の予防接種が必要かは、留学する州によって異なります。
ただ、ほとんどの州で求められているのは、以下になります。
ほとんどの州で求められている予防接種記録
- ・MMR(麻疹(Measles)、おたふく風邪(Mumps)、風疹(Rubella))の予防接種記録
- ・TB (結核Tuberculosis) Screening (ツベルクリン反応)の結果
州によってはさらにプラスして他の予防接種もしくは抗体価試験の記録提出を求めてきます。
どうやって『自分が必要な予防接種』を調べるの?
入学許可が下りた時点で学校から『このサイトにアクセスし、Immunization Record Form(予防接種記録)をダウンロードし、記録を作成し、入学前にどこに提出する事』的なお達しがありますが、あらかじめ知りたい場合は、google先生に聞きましょう。
自分に必要な予防接種の調べ方
- 1.googleの検索窓に自分が行く大学、留学生、免疫、要求と入れてみる。(例えば、university of montana, international student, immunization, requirement)
- 2. 検索で出てきた適切なページを開くと、必ずmedical requirement form, immunization certification form, immunization requirement form, immunization record formなどの記録用紙があるのでそれに従い記録を作成する。
ヘルスサイエンス系(医学部、看護学部など)の留学生の予防接種
ヘルスサイエンス系の留学生は、ヘルスサイエンス系以外の留学生よりも多い予防接種を求められます。
ヘルスサイエンス系の学生は、臨床に従事する場合、患者等から、研究に従事する場合、取り扱っている細胞からの感染が懸念されるため多くの予防接種が義務付けられています。
僕はヘルスサイエンス系の留学生だったので、上記で示したMMRやTB Screening Testに加えて、Hepatitis AおよびB(A型、B型肝炎)、Tdap(百日咳、破傷風、ジフテリア)などの予防接種も求められました。
どこで予防接種および予防接種記録作成をやってもらえるの?
予防接種記録作成、抗体価検査(予防接種による病気の予防効果を保持しているかの検査)、予防接種は保健所や大きな病院に行けばやってもらえます。
保健所、大きな病院では、過去に留学生の予防接種記録作成、抗体価検査、予防接種の経験があるので問題ないと思います。
小さなクリニックでもできると思いますが、予防接種記録作成等の経験が乏しいため時間が掛かるかもしれません。
抗体価検査や予防接種の費用は?
抗体価検査や予防接種を新たに行う場合には費用が掛かります。
予防接種記録の中には抗体価の数値を記載する項目があり、検査を行って抗体価が低い(その病気に対する予防効果がない)場合、新たに予防接種を受ける必要があります。
抗体価検査や予防接種の検査のかかる費用は、こちらをご参照ください。
【アメリカ留学に向けて】『自分が受けた予防接種』の確認方法
留学予定の学校から予防接種記録用紙を入手したはいいけど、『どうやって完成させるか分からない』なんて事はよくある。
普通は、はしか(Measles)、おたふく風邪(Mumps)、風疹(Rubella)のワクチン接種なんて赤ちゃんの時だったから、ほとんどの人が「そんな昔のこと覚えてないよー!?」ってパ二クってしまいます。
でも大丈夫。落ち着いて以下のステップに従ってくださいね。
自分が受けている予防接種の確認方法
- 1.母子手帳で確認する。
- 2.抗体価を調べるか、再接種する。
では、それぞれについて解説しますね。
母子手帳で確認する

あなたが赤ちゃんの時に受けた予防接種記録はきちんと記載されています。
それが、母子手帳です。だから、母子手帳さえあれば予防接種記録用紙を完成させることはそれほど難しくはないです。
日本のような医療大国だと赤ちゃんの時にしっかり予防接種は受けています。
そして、その記録はしっかりと母子手帳に記入されていますので、母子手帳をお医者さんに渡して予防接種記録を作成してもらいます。
抗体価を調べるか、再接種する

赤ちゃんの時に受けているのは間違いないが、母子手帳が見つからないため接種した正確な日時が分からない。
その場合、選択肢は2つ。要求されている予防接種の抗体価を調べるか、再接種するかです。
重要なのは、『予防接種の効果が持続しているか、していないか』ということです。実際にいくつかの予防接種に関しては、抗体価の数値を記入することが求められています。
僕も留学前に母子手帳が見つからず、再接種を選択しました。その理由は、抗体価(赤ちゃんの時に受けた予防接種によって得られた効果)が持続しているとは思えなかった事。通常、予防接種の効果期間は10-15年と言われています。加えて、抗体価を調べて値が低く再接種となったら二度手間になると思ったからです。
留学前は時間が限られていますからね。
アメリカ留学までに予防接種が間に合わない場合の対処法

再接種をするとなった場合、金額よりも時間が問題となってくる。
なぜなら、MMRにしてもHepatitis Bの予防接種にしても、一回で終わりではない。通常、充分な予防効果を得るためMMRは2回、Hepatitis Bは3回期間を開けて接種しなければならない。
では、どのくらいの期間を開けて接種するのか?
MMRでは2回目の接種まで4週間を空けます。Hepatitis Bでは2回目の接種まで4週間を空け、3回目の接種は一回目の接種から6カ月空けます。
各予防接種のスケジュールはこちらで詳しく見れます。
「エー!!間に合わないー!?!」ってなる場合もあります。落ち着てください。以下に対処法を書きますので参考にして下さい。
・日本で受けることができる予防接種だけ受けて、残りはアメリカで受ける。
具体的には、1回目の予防接種のみを日本でおこない、残り(2回目、3回目)の予防接種はアメリカでおこなう。
間に合わない事に関しては、どうすることもできないので、『できることだけやる』方法です。
必ず、大学付属のヘルスセンター、もしくは留学生のデスク担当者に連絡し、『この方法で問題ないか?』の確認は行ってください。
もしかしたら、アメリカで全ての予防接種を打つことで問題が解決する場合もあります(学期が始まる前に、1回目を打ち始める)。この場合、予防接種費用は日本より安く上がる可能性も。
その他、アメリカ留学前に予防接種について知っておくべき事
ツベルクリン反応(TBテスト)について

ツベルクリン反応とは、結核菌保有の有無を調べる検査です。
ところが、ほとんどの日本人はツベルクリン反応が陽性に出てしまいます。
『えっ!じゃあ、日本人のほとんどが結核に感染しているの?!』と驚くかもしれませんが、それは違います。
日本人は結核に感染しないために予防接種としてBCGを打っています。このBCGとは、牛型結核菌から作製された BCGワクチン(弱毒性結核生ワクチン)であり、そのBCG接種がツベルクリン反応を陽性にしてしまいます。ツベルクリン反応陽性が、実際の結核感染によるものなのか、BCG接種の影響によるものなのかの判断はとても難しいのです。
よって、ツベルクリン反応が陽性に出ても落ち着いて、以下のように対処します。
ツベルクリン検査陽性時の対処法
- 胸のレントゲン写真を撮る。
- IGRA検査(T-Spotもしくはクォンティンフェロン(QFT))を行ってもらう。
胸のレントゲンを撮ってもらう

胸のレントゲン写真を撮ってもらい、活動性結核に感染していない事をお医者さんに確認してもらいましょう。
IGRA検査(T-Spotもしくはクォンティンフェロン(QFT))を病院で行ってもらう
IGRA検査(T-Spotもしくはクォンティンフェロン(QFT))を病院で行ってもらい、結核に感染していないことを確認してもらいましょう。このIGRA検査はBCG接種の影響を受けないため、結核感染の確認をより確実に行える検査です。
もう一度まとめになりますが、ツベルクリン反応で陽性が出た場合は、子供の時にBCG接種を行っている旨をお医者さんに伝え、胸部レントゲンで結核に感染していないことを確認してもらい、IGRA検査にて結核に感染していないことを確認してもらいましょう。
その旨を記載した診断書をお医者さんに英文で作成してもらい、留学先に提出する。学校によっては、もう一度胸部レントゲンとIGRA検査をアメリカで行う事を要求してくることもあります。
アメリカ滞在中のインフルエンザ予防接種について
『アメリカでのインフルエンザワクチン接種費用は、日本と比べ低額だが品質に問題はないのか?』という疑問がありますが、
結論から言うと、品質に問題はありません。
健康保険でその費用をカバーできるため、無料になるケースもあります。
僕も留学中は、所属していた学科がインフルエンザワクチンの費用を負担していてくれたので毎年受けていましたが、問題ありませんでしたよ。
狂犬病について
アメリカの大学キャンパスでは、リスやプレイリードックなどの野生動物を見ることができますが、気軽に触れたり、餌をあげたりするのはやめた方がいいです。
それは狂犬病を持っている可能性があるからです。
リスクは低いかもしれませんが、0ではありません。
狂犬病が怖いところは、一旦発症した場合、効果的な治療法がなく、100%死に至るところです。
アメリカは発展途上国と比べれば狂犬病の発症率は低いが、いまだに狂犬病の症例報告はありますので注意が必要です。
『アメリカ留学の際に、狂犬病の予防接種は必要か?』と心配する方もいると思いますが、結論から言うと、必要ありません。
僕も留学するにあたり、狂犬病の予防接種は行いませんでした。でも、狂犬病の怖さは知っていたので、アメリカ留学中は野生動物に触ったり、近寄ったりすることはしませんでしたよ。
というわけで今回は以上です。
この記事を読めば、留学前の予防接種および予防接種記録に関しては、全般的に理解できると思います。予防接種のスケジュールとしては8-10カ月前から取り掛かれば問題なく終えることができるでしょう。留学直前になって、知らなかったでは話にならないので、万全の準備で取り掛かってくださいね。
タグ : 疑問